第31章

お粥はとろりとやわらかく炊けていて、食欲をそそる匂いをふわりと漂わせていた。

立花千時は粥椀を持ってベッド脇に腰を下ろすと、匙でひと口すくい、いつもの癖でいったん唇元へ運んでそっと息を吹きかけ、そのまま自然な動作で松本彩世の口元へ差し出した。

「少し食べておけ。空っぽのままだと、余計につらくなる」

落ち着いた、やわらかな声だった。

松本彩世は目の前まで寄せられた匙と、立花千時の端整で真剣な横顔を見つめ――その瞬間、今の二人の距離があまりにも近すぎることに、はっと気づいた。

彼女はわずかに身を引き、そのひと匙を避けると、気まずさを滲ませながら手を伸ばした。

「自分で食べます」

立...

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