第43章

新谷寒季は彼女にじっと見据えられ、頭皮がひりつくような感覚に襲われた。心臓が太鼓みたいに鳴っている。

松本彩世の性格は、骨の髄まで知っている。ここで強硬に拒めば、疑いは濃くなる。最悪、誰かを使って調べさせるだろう。

損得を天秤にかけた結果、寒季は歯を食いしばり、胃の奥までせり上がってきた動揺を無理やり飲み込んだ。

「……そんなわけないだろ」

新谷寒季は、泣き顔みたいな笑みを引きつらせる。結局、折れるしかなかった。

「行きたいなら、明日俺が連れてく。……それでいいだろ」

松本彩世はそれ以上、言い訳を探す隙も与えない。踵を返し、そのまま浴室へ向かった。

「バタン」

すりガラスの扉...

ログインして続きを読む