第46章

新谷グループ本社ビルの外。

初秋の陽射しがぎらつくほど眩しい。松本彩世はサングラスをかけ、瞳の奥に沈む倦んだ冷たさを隠した。

歩道の縁に立ち、スマホを取り出して配車アプリを開こうとした、そのとき。

カツン、カツン、と耳障りなヒールの音が、苛立ちをそのまま床に叩きつけるみたいに背後から迫ってくる。

「松本彩世!」

彩世は振り向きもしない。あの甲高い声を聞くだけで、誰かなんて分かる。

松本凛が細いピンヒールのまま数歩で詰め、彩世の正面に躍り出て道を塞いだ。

頬には乾ききらない涙の筋。完璧だったはずのメイクは崩れ、惨めなほどに乱れている。けれど眼底の嫉妬と悪意だけは、毒蛇みたいにのた...

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