第59章

松本彩世はぶるりと身震いした。小腹の重だるい痛みが、唐突にぎゅっと強まる。針を何千本も刺されるみたいな、鈍くて鋭い痛み。

顔色がさっと白く抜け、額には細かな冷汗が滲んだ。

痛みに足がふらつき、ヒールで段差を下りた瞬間、踏み外す。

ずきん、と脳まで貫くような激痛とともに、松本彩世は冷たい石段へ尻もちをついた。

足首がみるみる腫れ上がり、息が詰まってうまく吸えない。

そして――腹の奥から引っ張られるような下坠感が、はっきりと強くなっていく。

恐怖が心臓を鷲づかみにした。

この子だけは、失えない。

震える手でバッグを探り、スマホを掴む。救急にかけようとした、そのとき。

画面が先に...

ログインして続きを読む