第68章

だが、彼の青ざめた弁明は、怒りに沸く記者たちの前ではまるで説得力を持たなかった。

その時だった。会場に紛れ込んでいた過激なネット民が、後方の人波を割って突然飛び出してくる。

「性悪のアマ! 死ね!」

罵声と同時に、拳ほどの石――半分ほど残ったミネラルウォーターのボトルまで一緒に――が、壇上の松本彩世めがけて容赦なく投げつけられた。

あまりにも一瞬の出来事。

新谷寒季の瞳孔がきゅっと縮む。考えるより先に身体が動き、彩世を抱き込むようにして庇った。

「ゴンッ!」

鈍い衝撃。石は新谷寒季の額をまともに打ち、鮮血が一気に溢れ出す。端正な横顔を伝い、ぽた、ぽた、と床へ落ちた。

「寒季!...

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