第76章

これは新谷グループにとって、下半期最大の勝負どころだった。

松本彩世は迷いなくバッグからスマホを取り出し、画面に向けて立て続けに十数枚、連写する。核心となる数値も、標的企業のリストも――文字の端まで、くっきりと写るように。

暗号化アプリを立ち上げ、写真をまとめてパッケージ化。そのまま、立花千時へ送信した。

すべてを終えると、松本彩世はノートパソコンの画面を元のページに戻し、立ち上がって照明を落とす。静かに書斎を出ていった。

数日後――。

ノバテック株式会社、本社。

新谷寒季は新谷グループ投資部の幹部数名を連れ、スーツ姿で会議室へ入った。

この案件は、必ず取りにいく。ノバテックの...

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