第88章

松本凛は喉を絞め上げられ、白目を剥きかけた。生理的に涙が溢れてくる。それでも歯を食いしばり、頑として認めない。

「わ、私は……本当に知らない……」

その往生際の悪さに、新谷寒季はゴミでも捨てるみたいに彼女を床へ叩きつけた。

「今すぐ航空会社と出入国管理局に当たれ。奥様のフライト履歴を洗え!」

新谷寒季はスマホを掴み、助手に怒鳴りつける。

十分もしないうちに折り返しが来た。

「新谷社長、出ました。半月前、奥様のパスポート情報がスイス・チューリッヒ行きのプライベート便の搭乗名簿に載っています。それと……奥様は大型の荷物を複数箱、国際配送でチューリッヒのプライベートバンク宛に送っていま...

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