第92章

三日後。

新谷寒季はオフィスで、松本彩世の直近半年分の通話履歴をめくっていた。

机の上のスマホが、ぶるっと震える。

なぜか指先が小さく震え、寒季はそのまま通話を取った。

「新谷さん、海上保安庁です」

受話口の向こうの声は事務的で、けれどどこか重い。

「南部沿岸の岩礁地帯で女性の遺体を引き揚げました。海中にいた期間が長く、顔貌による確認は困難です。ただ、着衣と、腰部に見られる重りを結んだ痕跡が、新谷さんの届け出内容――松本彩世さんの特徴と高い一致を示しています。至急、法医学鑑定センターへお越しいただき、身元確認をお願いします」

スマホが掌から滑り落ち、鈍い音を立ててデスクに叩きつ...

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