第95章

「君と組めば、目を閉じてても稼げる」

須藤夏夜は上機嫌に言った。

「で、何をやるつもり?」

松本彩世の脳裏に、母が遺したデザインの手稿がよぎる。

「独立系のアパレルブランドを立ち上げる」

彩世は迷いなく言い切った。

「高級オーダーメイドと、ミニマルな通勤ラインが軸。ヨーロッパのサプライチェーンは成熟してるし、スイスのチューリッヒは金融都市。富裕層の顧客が途切れない」

二人は即座に意気投合した。

それからの日々、松本彩世は完全に仕事漬けになった。

驚くほどの実行力と商才を見せつけるように、次々と手を打っていく。

チューリッヒ5区に、広々としたインダストリアル調のロフトを借り...

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