第98章

「……出ていけ」

新谷寒季の声はしゃがれ、まるで紙やすりで削ったみたいにざらついていた。

松本凛はびくりと全身を震わせ、保温ポットを抱えた手が宙で固まる。

「お義兄さん、私はただ……」

「出ていけと言った」

「だから、出ていけ!」

新谷寒季は唐突に跳ね起き、手近にあった空の酒瓶を掴むと、松本凛めがけて叩きつけた。

「ガシャン!」

瓶は松本凛の足元で弾け、ガラス片が四方へ飛び散る。松本凛は悲鳴を上げ、腹を押さえたまま尻もちをついた。顔面は血の気が引き、真っ白だ。

「寒季! あんた、正気なの?!」

新谷の母が青ざめ、慌てて松本凛を支えにかかる。

「お前みたいなクズがいなけり...

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