第99章

彼は力なく目を閉じた。いまさら真相を掘り返しても意味はない。急務は株価を支え、資金調達を決めること――それだけだ。

「新谷社長、いま残っている手はひとつです。情に訴えましょう」

広報部長が青い顔で、腹を括ったように言った。

「奥様のために盛大な追悼式を開きます。金融街の有力者と主要メディアを招く。そこで社長が十分な深い愛情と悔恨を見せ、『最愛の妻を失った男』として世間に印象づけられれば……投資家の信頼を、少しは取り戻せるかもしれません」

新谷寒季は長い沈黙ののち、ゆっくりとうなずいた。

もう、退く道はなかった。

一週間後。N市M区、教会。

新谷寒季はN市最大のカトリック教会を丸...

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