第43章 セイゲン・ホールディングスの来訪者

茅野芽衣は問い返した。

「……何て言ったの?」

相馬悠真は一瞬だけ言葉を止め、声音を落として穏やかに笑う。

「いや、何でもない。仕事に戻っていいよ」

さっき胸をかすめた微妙な違和感は、ただの思い違いだったのかもしれない。

茅野芽衣は釈然としないまま身体を向け直す。顔を上げた瞬間、扉の外に相馬瑛太が立っているのが見えた。表情は陰り、空気だけが重い。

彼女が振り返ったのを確かめると、低い声で問う。

「……誰からの電話だ」

茅野芽衣はスマホを握る指に、わずかに力が入った。

数拍置いてから、何事もないような薄い笑みを作る。

「相馬悠真よ。忘れたの? 昔、孤児院で知り合ったの。今日...

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