第46章 離婚して譲る

「危ない!」

相馬悠真は咄嗟に茅野芽衣を背中へ庇い、手近にあった黒焦げの何かをひっ掴むと、黒い影めがけて投げつけた。

影はひらりと身を翻し、二、三歩で廃墟の奥へ消える。視界から――すっと。

茅野芽衣は息を殺したまま、低い声で問うた。

「今日、ほかに予約の人は?」

「いない」

相馬悠真は言い切る。

「予約だとしても、なんであんなコソコソする。ここはもう危ない。今すぐ送る」

見学を始めてまだ二時間も経っていない。

なのに芽衣は、手がかりらしいものを何ひとつ掴めなかった。

悔しい。腹の底がじりじりと灼ける。

それでも、悠真の眉間に刻まれた心配の色を見てしまうと、迷いは長く続か...

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