第65章 毒を盛る

夜も更け、茅野芽衣が相馬家に戻ったときには、もう9時を回っていた。

玄関を上がるなり目に飛び込んできたのは、茅野美月が相馬幸江にべったり張りつき、肩を揉んだり脚をさすったりして機嫌を取っている姿だった。

幸江はすっかりいい気分で、芽衣がこんな時間に帰ってきたと見るや、案の定小言を浴びせる。

「遅いじゃない。あなた、もう人妻なんだから、夜にふらふら出歩くのは控えなさい。分かった?」

――要するに、相馬家に嫁いだ以上、相馬家の都合を最優先にしろということだ。

芽衣は眉をひそめ、言い返しかけて――飲み込んだ。低く短く返す。

「……分かりました」

その従順な態度に幸江は満足げに頷いたが...

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