第68章 用済みの人間を切り捨てる

会議が終わるや否や、相馬瑛太は秘書に言いつけた。

「明日の調印式の進行案、持ってきてくれ」

秘書は書類を差し出し、背筋を伸ばして答える。

「相馬社長、会場も段取りも手配済みです。どうぞご安心ください」

けれど相馬瑛太の瞳の奥を、かすかな不安がよぎった。無意識に、独り言のように呟く。

「なあ……明日、どうすれば芽衣が皆の前で俺に告白してくれる?」

その言葉と同時に、記憶が堰を切ったように押し寄せた。

大学の卒業式の日。茅野芽衣は壇上に立ち、メガホンを握って笑いながら叫んだのだ。

「相馬瑛太、愛してる!」

あの頃の芽衣は、まだ二十歳そこそこの、生命力に満ちた女の子だった。

相...

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