第70章 彼は社会的地位も名誉も失った

相馬悠真は淡く笑い、そのまま音声データを再生した。

スピーカー越しに流れ出したのは、茅野美月と相馬瑛太の会話――そして、耳を塞ぎたくなるような喘ぎ声。

あまりにも鮮明で、逃げ場がない。

茅野芽衣は一瞬だけ目を見開き、すぐに気づく。

この音声を録れる人間は、ひとりしかいない。相馬瑛太の秘書だ。

芽衣は悠真を見て、呆れたように笑った。

「……ほんと、やることがえげつない。相馬瑛太の秘書まで寝返らせるなんて。小林秘書って、何年も瑛太についてたはずでしょ?」

「世の中、タイミングってあるんだよ」

悠真は気にも留めない様子で笑い、音声を芽衣へ送ってバックアップを取らせながら言った。

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