第73章 お悔やみ申し上げます

秋の気配が近づくころ、ルミナ島はちょうどハイシーズン。海辺はどこも人、人、人――砂浜の端から端まで、観光客でびっしり埋め尽くされていた。

茅野芽衣は潮の匂いに包まれながら、海沿いをぐるりと歩く。ぬるい風が、急かすでもなく背中を押してくる。胸の奥に絡みついていた憂いをほどき、同時に、しまい込んでいた記憶までふわりと揺らした。

数年前の自分。

まだ何も疑わず、眩しいほど無邪気だった頃。

恋を信じていた。

相馬瑛太となら、幸せな未来が待っていると――本気で。

瑛太は芽衣を海へ連れ出し、水平線と陽光を前に誓ったことがある。

一生大切にする。お前だけを大事にする、と。

世界一周だって約...

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