第100章 体外受精、浮気相手

この言葉がほかの誰かの口から出たのなら、立花結月はきっと冗談だと思っただろう。だが、言ったのは氷室蒼生だ。

彼は、絶対に冗談を言う人間じゃない。

この業界に噂話は尽きない。とくに撮影現場なんて、掃除のおばちゃんですら平然と爆弾級のネタを落としていく。

みんながゴシップで盛り上がっているとき、氷室蒼生は決まって席を外すか、黙っているかのどちらかだった。

陰で誰かを評する言葉を、彼は一度も口にしない。

立花結月は、どうやってそれを我慢しているのか不思議だった。現場で「浮気相手をベッドで取り押さえた」みたいなドロドロの話を聞いても、眉ひとつ動かさないのだから。

立花結月なんて、クズ男が...

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