第117章 父さんが命を返してやる

中島颯真は、その光景を目にした瞬間、背筋が粟立った。

藤井修也は、その血の塊を抱えたまま車に乗り込む。

よく見れば、あまりにも残酷だった。流産した胚は形を成しきれておらず、血に染まった組織がいくつも絡み合って凝り固まり、色まで変わり始めている。

夏なら、すぐ腐ってしまうだろう。そうなれば、なおさら目を背けたくなる。

藤井修也は後部座席の灯りを点け、瞬きもせずそれを見つめた。まるで彼の瞳には、愛らしい人形でも映っているかのように。

「ごめんな、赤ちゃん。パパが守れなかった。ママも……お前も、苦しめた」

藤井修也がどれほど立花結月との子どもを望んでいたか、中島颯真は誰より知っている。...

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