第13章 藤井グループが藤井夫人の身分を公式発表

立花結月は取り合わなかった。藤井修也の脇をすり抜け、脱いだコートと飲みかけのコーヒーを置くと、ぬるめの水を一杯注いだ。

松田さんはすでに帰っている。広い部屋に残るのは、ちょろちょろとした水音だけ。それが空気をいっそう重く、息苦しくしていた。

その無視が、藤井修也をほとんど狂わせる。

胸の奥の怪物が「理性」という鎖を引きちぎり、咆哮しながら飛び出してきそうだった。

藤井修也は腹の底の嫉妬を無理やり押し殺し、一歩、また一歩と結月へ近づく。

できるだけ声を和らげた。

「結月、今夜は俺……」

結月はコップを手に、ウォーターバーのカウンターにもたれた。気だるげな姿勢のまま、近づいてくる男...

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