第33章 氷室蒼生が藤井修也に宣言「人は、もらった」

藤井修也は、立花結月を陰で支えていた人間が――まさか彼だとは、どうしても信じられなかった。

氷室蒼生。

一枚のガラスを隔て、二人の視線がぶつかる。

蒼生は高い位置に立ち、見下ろすように藤井修也を睨んでいた。感情の起伏など微塵もない眼差し。雲上に立つ人のように、ただ淡々と冷たい。

相手が彼なら、意外でもない――そう思ってしまう自分がいるのが、なおさら腹立たしい。

あの頃、藤井修也はこっそり現場に顔を出したことがある。スタッフに化けて、立花結月を驚かせようとしたのだ。

ちょうど撮影が回っていて、二人は芝居をしていた。

カットがかかると、結月は役を脱いだみたいにすっと空気を変え、その...

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