第41章 結月はいい子

藤井修也は相変わらずスーツ姿だったが、顔に浮かぶ動揺は隠しようがなかった。

氷室蒼生が本格的に介入してきた――人脈も資金力も、背後の地盤も侮れないと知った瞬間から、勝ち目は一気に薄くなる。

残された望みはただ一つ。立花結月が翻意し、離婚を取り下げることだ。そうさえすれば、氷室蒼生にも打つ手はない。

立花結月は礼儀正しく会釈して車を降り、そのまま藤井修也を一顧だにせず去っていった。

藤井修也は後部座席に無造作に置かれたスーツの上着へ視線を落とす。今の季節、車内は快適だ。しかも今夜の晩餐会に合わせて薄着だったのだから、わざわざ脱ぐ必要などない。

目の奥に冷たい光が走る。

「氷室さん。...

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