第48章 氷室蒼生がゴルフクラブを持って藤井修也を殴りつける

立花結月は、自分が底なしの深淵へ落ちていくような感覚に囚われていた。四方は闇ばかり。裸足のまま、どれほど走ったのかもわからない。

何から逃げているのかは、はっきりしない。ただ、ここは恐ろしい。絶対に抜け出さなければ――そう思うだけだった。

どれくらい経ったのだろう。目の前に、か細い天の光が一本だけ差し込んだ。闇を裂く、刃のような光。

立花結月は、その光へ向かって駆けた。消えそうになる瞬間、反射的に手を伸ばし、ぐっと掴む。

「……掴まえた」

ぱっと視界が白く弾ける。

目を開けた結月の前にあったのは、氷室蒼生の黒い瞳だった。そこに一瞬だけ、戸惑いの色が走る。

けれど、それは瞬きほど...

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