第52章 麻酔なしで、彼女に奥様の苦しみを味わわせろ!

氷室蒼生は、ウサギみたいに真っ赤に腫れた彼女の目と向き合った。四年前の時点で、彼女がかつて傷を負い、八歳以前の記憶を失っていることは知っている。

彼はその問いには答えず、彼女がまだ口をつけていない薬膳粥を手元へ寄せた。

「医師が言ってた。君の身体はひどく弱ってる。まずは何か入れろ」

「いらない、私……」

立花結月が断るより早く、男はスプーンを、皮の剥けた彼女の唇へそっと当てた。

淡い声。生まれつきの威圧と強引さが滲む。

「飲め。今の時間、看護師はみんな手が離せない」

立花結月は、もう言い返す力すら残っていなかった。こんな些細なことで揉める気力がない。

一口含むと、乾いて痛む喉...

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