第63章 彼は体外受精を希望している!

立花結月が目を覚ますと、車内は真っ暗だった。自分がどこにいるのか、いま何時なのか、すぐには判別できない。

ただ、脚がじんじん痺れていて、身体のあちこちも妙に気持ち悪い。

そっと身じろぎする。――枕が、柔らかくない。というか硬い。

おかしい。

そのまま転がろうとした瞬間、腕が伸びてきて、彼女の身体をすくい上げた。引き寄せられ、胸の中に収まる。

闇の中、男の低い声。

「起きたか」

立花結月は、幽霊でも見たみたいに固まった。半身が痺れていなければ、反射で跳ね起きていたはずだ。

「動くな。動いたら落ちる」

低く抑えた忠告。たぶん彼も、いま起きたばかりなのだろう。ざらりとした掠れが混...

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