第65章 結月、私たちの子供がほしい

かすかな、息を吐く音がした。

「結月。かくれんぼのたびに、君はクローゼットに隠れる」

――知っている。彼のほうが、もっと。

癖でわかるのだ。考えるまでもなく、彼はいつも正解に辿り着く。

扉がゆっくり開き、差し込んだ光の中に、藤井修也のすらりとした影が立った。

彼は上から覗き込み、立花結月が小さく丸まっているのを見下ろす。無垢な子猫みたいに、涙を溜めた大きな瞳。

藤井修也が身を屈め、指先で彼女の目尻をそっとなぞった。

「結月、いい子。泣かないで」

立花結月はその手を乱暴に叩き落とす。

「触らないで!」

反応があまりに激しく、藤井修也は一瞬だけ息を止めた。それでも彼はしゃがみ...

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