第69章 子供が綺麗になくなってしまった?

おばあちゃんが倒れた――立花結月にとって、それは世界がひっくり返るような出来事だった。

人には生老病死がある。頭ではわかっている。けれど、誰だって願ってしまう。大切な人には、痛みも病もなく、穏やかに歳を重ねてほしい、と。

結月が健康診断に連れていったのだって、少しでも長く生きてもらいたかったからだ。なのに、どうしてこんなことに――。

立花結月は真っ暗な非常階段に座り込み、ひとりで涙を拭っていた。

頭上から、氷室蒼生の沈んだ声が落ちてくる。

「……泣くな」

結月の体がびくりと震えた。

藤井修也に見つかりたくなくて、ここに隠れたのに。

非常口の緑色の誘導灯が、男のすらりとした輪郭...

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