第85章 藤井修也は狂った

藤井修也と立花結月は長いこと一緒にいて、互いのことを知り尽くしていた。

祖母は結月にとって何より大切な存在だ。祖母を連れて行くなら、必ず安全な場所を選ぶ。祖母の体を賭けにするような真似は、結月にはできない。

雲隠療養所は医療設備も一流で、術後の高齢者が体を戻すにはうってつけだ。

氷室蒼生が情報を隠す手助けをしているなら、なおさら足取りを消すのは難しくない。

結月は街を出ていない。桐山にいる。

藤井修也は、なぜ自分がこんなにも早く彼女を見つけたがっているのか、うまく言葉にできなかった。だがわかっている。これ以上遅れたら――きっと、一生悔やむ。

アクセルを踏み込む。抜いた点滴の針穴は...

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