第87章 双子

病院。

小野秘書はすでに待機していた。雪の中からマイバッハが姿を現した瞬間、彼は真っ先に傘を広げ、駆け寄る。

病院長と産婦人科の主治医も脇で控えていた。二人が目を上げると、小野秘書が開けた側のドアから降りてきたのは、長い髪の女だった。

次の瞬間、素顔が覗く。化粧ひとつしていないのに、息を呑むほどの美しさ。

立花結月——。

二人はすでに釘を刺されている。今日のことは、外には一切漏れない。

わずかな距離だというのに、小野秘書は立花結月に風雪が当たらぬよう身を寄せて守る。一方、当事者である氷室蒼生は反対側から自らドアを押し開け、吹きつける雪をまといながら回り込んで来た。

「蒼生様」

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