第89章 必ず彼女の命を守れ!

「優柔不断は禍を招く」――そんな言葉を、立花結月は痛いほど知っていた。白石莉緒の腹の子が下ろされていないと分かった以上、この破綻した結婚の中で、これ以上すり減り続ける気はない。

もう、終わりにしよう。

藤井修也。私はあなたを放す。だから、あなたも私を放して。

これから先、十八年の情も――きれいさっぱり帳消しだ。

立花結月は、恩を断ち、縁を絶つ覚悟を決めていた。

麻酔の針先が、今にも皮膚を破ろうとした、その瞬間。

バン、と扉が押し開けられ、室内の視線が一斉に入口へ吸い寄せられる。

いつも冷静沈着な男の瞳に、はっきりとした動揺が走った。声まで、わずかに揺れている。

「……大変だ」...

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