第97章 私を抱きしめて

氷室蒼生の手が、立花結月のふくらはぎに落ちた。乾いた掌が触れたのは、濡れて冷えた肌。

つるりとしていて、それでいて妙に硬い。

立花結月は、いま自分がどれほどみっともない格好をしているかなんて気にしていられなかった。身体の半分以上を氷室蒼生の胸に預け、タオル一枚だけでどうにか隠している。

濡れた髪は頭皮に張りつき、雫がぽたぽたと落ち続けた。

片腕は彼の首に回り、もう片方の手は彼のシャツを掴む。顔を彼の首筋に埋めたまま、苦しさに耐えるように震えた。

「……痛い……」

言葉にできない痛みだった。全身の感覚が、ただその脚だけに吸い寄せられていく。

氷室蒼生は片膝を床につき、片手で彼女の...

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