第99章 白石莉緒が身ごもっているのは藤井修也の子ではない

氷室蒼生は外の物音を聞くなり、服をきちんと着る暇もなく、手近にあった新品のバスローブを羽織って廊下へ出た。

立花結月が不利になるのが怖かった。身だしなみを整える時間すら惜しい。

だから人前に姿を現した彼は、いつもの彼とはまるで別人だった。

フリーサイズのローブは丈が足りず、逞しいふくらはぎがあらわになる。胸元は大きく開き、腰紐はだらりと緩い。いつも後ろでまとめている髪も濡れて乱れ、荒々しく跳ねていた。額の前には、濡れた二筋が垂れている。

変わらないのは、押しの強い気配と、鋭く射抜くような眼だけ。

藤井修也はその格好に息を呑んだ。結月と長い時間を過ごしてきたのだ。疑うべきじゃない――...

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