第4章
半月後、看護師長から姫川凛が小児科病棟に来たことを知らされた。
「彼女が何をしに?」
胸の中に不吉な予感が湧き上がる。
「姫川さんは、なちゃんを助けたい、最良の治療環境を提供できると仰っていました」
「あの姫川さんという方はとても優雅で、月影さんとはお似合いに見えましたわ。それに、どうしてカルテに父親の情報がないのかも尋ねていました」
看護師長は明らかに彼女に好印象を抱いているようだった。
私はなちゃんの病室へと足を速める。
ドアを押し開けると、姫川凛がなちゃんを見下ろしながら言う声が聞こえた。
「あなたのお父さん、あなたとあなたのお母さんのこと、もう要らないんだっ...
ログインして続きを読む
チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
縮小
拡大
