第5章
救急処置室の扉が閉まり、赤いランプが灯る。私はその場に崩れ落ち、一言も発することができなかった。
月影隆志が私を支えようとしたが、私は彼の手に噛みついた。口の中に血の味が広がり、歯を食いしばる力さえなくなるまで。
「どうして私の人生に戻ってきたの? どうして私となっちゃんに付きまとうの!」
私は崩れ落ちるように彼を突き放した。
「私となっちゃんで、ちゃんと上手くやっていたのに……」
もし彼が現れなければ、姫川凛がなっちゃんに会いに来ることもなかった。なっちゃんが夢に見ていたパパに失望することも、怒りのあまり喀血することも、救急処置室に運ばれることもなかったのだ。
月影隆志...
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