第10章

妃那視点:

その言葉は、頭の上から振り下ろされた金槌みたいに、私の理性を粉々に打ち砕いた。

どうして――

どうして私が大事にしているものは、全部祈葉に譲らなきゃいけないの。

両親は祈葉に譲り、株も祈葉に譲って、挙げ句の果てには婚約者まで祈葉に譲れと言う。

たとえ私が祈葉に負い目があるとしても。

こんなにも長い間、こんなにもたくさん差し出してきたのに、それでもまだ足りないって言うの?

どうして、最後に残った、私だけの優しさまで、あの子にくれてやらなきゃいけないの。

あのマンションは、おばあちゃんが私に遺してくれたもの。

ここ数年の私にとっての避難所であり、唯一あたたかさを感じ...

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