第100章

祈葉視点:

「違う! 何言ってるの!」

金彦がうんざりしたように私の後ろへ回り、弁解を始めた。

もう彼の心が揺らいでいるのは分かっている。だからあえて返事なんてしない。私はただ朱司にすがりついたまま、子どもみたいにわんわん泣き続けた。

その背後で、金彦が何度もため息をつく音がする。

十分くらい泣き続けた頃合いを見計らい、私は大きく息を乱し始めた。肩を激しく上下させ、胸を押さえたまま、わざと崩れ落ちる。

床に倒れ込む寸前、金彦が反射的に私の体をしっかりと支えた。

「祈葉! 大丈夫か?」

いつものように、彼は慌てふためいた声を上げる。これまで何度も見てきた、あの焦りと緊張の色。

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