第102章

妃那視点:

 紗衣が慌てて私の前に一歩出て、きっぱりと言い返した。

「リンダ。妃那は紗季さんがわざわざ招いた振付師です。実力は紗季さんのお墨付きですよ」

「実力があるって言うなら、その「実績」とやらをいくつか挙げてみなさいよ。みんなの前でさ」

 リンダは口元だけで笑って、あからさまに見下すような視線を送ってくる。

 紗衣が眉をひそめ、さらに何か言おうとしたところで、私はそっと彼女の手首を取った。首を横に振り、止める。

 代わりに一歩前へ出て、まっすぐリンダを見据える。

「リンダさんの言う通り、世に出ている「作品」はありません。というのも、今まで仕事として振付をしてきたわけじゃな...

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