第126章

祈葉視点:

「何しに来たのよ、出てって!」

きつい声が飛び出した。今の私にとって妃那の顔は、見るだけで心臓がきゅっと縮み上がる不吉の象徴だ。

本当に怖くなった。あの女が現れるたび、必ずろくでもない目に遭う。

妃那はそんな私を見下ろしながら、にこりと微笑んだ。

「死なずに済んだみたいだし――そろそろ、自分の取るべき責任について話しましょうか」

そう言って横へ身を引く。彼女に付き従って来た警官が二人、つかつかとベッド脇まで歩み寄ってきた。

私はわけがわからず彼らを見上げ、唇を結んだまま黙り込む。

頭の中ではただ一つの可能性がぐるぐる回っていた。――まさか、一成の告発したあの誘拐事...

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