第42章

祈葉視点:

せっかく金彦が「気晴らしでもしてこよう」と言って外に連れ出してくれたのに、その心ここにあらずなのは、見なくても分かった。

プールサイドまで車椅子を押してきたところで、彼は何度も何度も振り返っては、パーティー会場の方を気にしている。

どうせ妃那を気にしているに決まっている。胸の奥が、ぐつぐつと煮え立つみたいに苛立った。

妃那なんて、性悪の安っぽい女のくせに。どうして金彦は、あんな女と結婚しなきゃいけないの?

あんな女、金彦には釣り合わない。あんな女に、あれほどの贅沢や栄華を味わわせるなんて、おかしい。

ふさわしいのは、この私だけなのに。

そんなことを考えていると、不意...

ログインして続きを読む