第43章

祈葉視点:

そこまで聞いて、思わず笑いがこみ上げた。

光史って本当にどうしようもないバカだけど、今回ばかりは大助かりだ。

更衣室から漏れてくる物音は、あまりにも激しすぎた。耳が熱くなるようなその気配に、今すぐにでも扉を開けて覗き込みたい衝動に駆られる。けれど、そんなことをしたら、さすがに私の思惑が露骨すぎるし、あまりにも不自然で、怪しまれるに決まっている。

だから私は口元を押さえ、信じられないといった顔を皆に向けた。

「妃那? 今、中で妃那って呼ばなかった? どうして妃那なの?」

わざとよく通る声で、はっきりと「妃那」の名前を響かせる。

一郎は顔を真っ赤にして怒鳴った。

「ふ...

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