第56章

祈葉視点

まさか、慈善パーティーの会場で妃那と顔を合わせることになるなんて。

金彦もすぐに彼女に気づき、思わず声を上げた。

「妃那!」

視線がぴたりと妃那に張りつき、私の腕に絡めていた自分の腕を、無意識に引き抜こうとする。

けれど妃那は、そんな金彦なんて目に入っていないかのように、葉夜と、見知らぬ女と一緒に談笑しながら、そのまま私たちの横を通り過ぎていった。

それを見た金彦が追いかけようとするのを、私はカッとなって腕に力を込め、低い声で釘を刺す。

「金彦。今のあなたは、私の婚約者よ。忘れてないわよね? それに、あの子の隣には葉夜がいるのよ。あなたなんか、相手にされるはずないじゃ...

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