第61章

妃那視点:

まさか、祈葉があんな昔から私を計算していたなんて思いもしなかったし、一途に尽くしてくれていた彼氏にまで、あそこまで平気で残酷になれる女だなんて、もっと想像もしていなかった。

朱司は本当にいい男だ。典型的なジェントルマンで、祈葉が彼と付き合えたことは、ずっと「神様の贈り物」みたいなものだと思っていた。祈葉みたいな女に、朱司みたいな出来すぎた男、似合うわけがないのに。

朱司は、私と祈葉が犬猿の仲だと知っていながら、ずっと仲直りさせようと奔走してくれていた。

あの日、事件が起きた当日、私と金彦がわざわざ祈葉の舞台を観に行ったのも、全部朱司の顔を立ててのこと。

あれは、朱司に誘...

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