第62章

祈葉視点

 本来ならチャリティーの晩餐会が終わったあと、そのまま舞団に戻って引退公演の準備をするはずだった。

 でも妃那の一撃があまりにも容赦なくて、顔はほとんど原形を留めないほど腫れ上がった。あんな状態で外を歩けるわけがない。

 みんなの笑いものになんて、死んでもなりたくない。だから私は家に引きこもって、しばらく大人しく療養していた。

 ――そして、久々に舞団に顔を出したら。

 私のプリマの席が、見事に奪われていた。

 誰よ、こんな真似したのは。

 しかも、団長がそれを認めたですって?

 今の私にとって、ダンスは妃那を煽り立てる最高の武器だ。そのダンスで輝くプリマの座を取り...

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