第67章

祈葉視点:

――おかしい。

みんなが妃那を責め立てる光景なんて、どこにもなかった。

どういうこと?

胸の奥がざわついて、私は不安と悔しさでわんわん泣き出した。

泣く――それは、私が一番得意な武器だった。これまでだって、私が泣きさえすれば、いつだって状況は私に有利に転がってきたのに。

なのに今日は、しゃくり上げて声を上げても、返ってきたのは冷たい視線ばかり。中には、露骨に罵ってくる人までいる。

「よくそんなツラ下げて泣けるな」

違う。こんなはずじゃない。どうして、みんなの反応がこんな……。

一気に血の気が引き、私は藁にもすがる思いで金彦たちの方を見た。

恵麗も一郎も、すぐさ...

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