第73章

金彦視点:

開廷の日、俺は恵麗と一郎と一緒に法廷に来ていた。

祈葉は以前ちょっとした有名人だったうえ、劇場での盗作騒ぎがネットで生配信されていたせいで、世間の注目度も高い。だから今日はマスコミの記者も大勢詰めかけている。

だが――もし裁判長が彼女の名前を口にさえしなければ、目の前の女が祈葉だなんて、俺は一生信じなかったと思う。

……うそだろ。

これが、本当に祈葉なのか。

痩せ細って、ひどくみすぼらしい。

遠くから近づいてくる姿なんて、干からびた骸骨がふらふら歩いてくるみたいで、ゾッとした。背筋がぞわりと総毛立つ。

おかしい。俺、前はどうして「綺麗」なんて思ってたんだ?

妃那...

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