第76章

妃那視点:

「ほんと、よくもまあそこまで言えるよね」

私は怯えたように葉夜を見上げ、不安を隠せずに尋ねた。

「もしかして、本当に血縁関係を証明されて、遺産を山分けされちゃったりしない? 嫌だよ、絶対嫌」

葉夜はふっと笑っただけで、何も答えない。代わりに、やたらとゆっくり葡萄を一粒つまみ上げた。

その場にいる全員の視線が、彼の手元に吸い寄せられる。

当の本人だけが、そんなものにはまるで気づいていないかのように、動作ひとつひとつがスローモーションみたいに緩やかだった。

房から葡萄をひと粒もぎ取り、じっくりと皮を剥く。

それからようやく、私の口元へと差し出してきた。

私はその好意...

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