チャプター 19

スカーレットは抵抗しなかった。

自分は理性的な人間だと思っている。だが、アレクサンダーを前にすると、その理性はいつも呆気なく崩れてしまうのだった。

彼から距離を置こうと決めていたのに、腕の中に抱きしめられた瞬間、もう一歩たりとも動きたくなくなる。

さきほどのパーティーの間も、彼女の頭の中はアレクサンダーのことでいっぱいだった。

かつて、ふたりはよく「お似合いだ」と囃し立てられた時期がある。

ふたりの関係を知っている者は多くなかった。当時は身分の差が大きすぎたし、アレクサンダーが陰口を叩かれるのも嫌で、スカーレットは人前ではわざと彼を避けていたのだ。

その年の休暇に、ふたりはアークト...

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