チャプター 52

スカーレットはあまりのことに言葉を失い、しかもどこか可笑しくすら思えた。

エマとセバスチャンは、本当にお似合いの一対だ。

黒白はっきり署名までした契約書があるのに――気が向いたら、いつでも撤回できるとでも思っているのだろうか。

スカーレットは冷えた目で、得意げなエマの顔を見つめた。セバスチャンは筋金入りの愚か者だ、と心の底から思う。

あれほど長くエマと一緒にいながら、まだ彼女の本性が見抜けないの?

胸の内の毒づきを終えると、スカーレットはエマから距離を取るように二、三歩下がり、これ以上あの裏表のある策に巻き込まれないよう身を引いた。

安全だと思える距離を確かめてから、スカーレットは...

ログインして続きを読む