第4章

 あの家を後にして、私はその足で空港へと向かった。

 目指すは北の海辺の街――北海道、札幌。

 そこには大学時代の恩師がいる。私がデザインの道を諦めたことをずっと惜しんでくれていた彼に、数日前に連絡をとったところ、二つ返事でオファーをくれたのだ。

 搭乗待合室のベンチに腰を下ろし、携帯電話からSIMカードを抜き取る。そしてゴミ箱のそばまで歩み寄ると、躊躇なくそれを放り込んだ。

 その小さなチップが落下すると同時に、北野直道と過ごした七年間にも、完全に終止符が打たれた。

 機体がふわりと浮き上がった瞬間、窓の外で豆粒のように小さくなっていく東京の街並みを眺めながら、ついに涙が零れ落ち...

ログインして続きを読む