第5章

 冷え切った海水が全身を呑み込み、衝撃で内臓が引き裂かれるかと思った。

 次に目を開けた瞬間、鼻先に叩きつけられたのは、生臭さとディーゼルの油臭さが混ざった、喉の奥まで刺すような匂いだった。

「よかった……お嬢さん、やっと目ぇ覚ましたか」

 年老いた漁師がそう言いながら、分厚い毛布をぐるりと私の肩に巻きつける。

 歯の根が合わないほど震えながら身を起こし、私は反射的に左足首へ手を伸ばした。

 電子足かせ――まだある。

 目を閉じると胸の奥がずきりと痛んだ。けれど絶望の底から、突拍子もない、狂った考えが湧き上がる。

 絵理奈は、私が崖から身を投げるのをこの目で見た。この暗礁だらけ...

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